紛争鉱物への取り組み
「責任ある鉱物調達」についての当社の活動
責任ある鉱物調達は、Acerにとってこれまでもこれからも重要な取り組みです。当社がビジネスを行う場所や当社の影響力が及ぶ範囲に存在する他者の人権を尊重し、人権への負の影響に対処することが、当社の責任であると考えています。コンゴ民主共和国で産出されるタンタル、錫、タングステン、および 金(頭文字をとって3TGと呼称 [3TG = tantalum, tin, tungsten, gold])に焦点を当てたプログラムから始まったAcerの責任ある鉱物調達プログラムは、Acerが社会的および環境的リスクを伴うと特定したあらゆる鉱物に対応できるプログラムへと拡大しています。
Acerでは、責任ある鉱物調達プログラムにおいて、コンゴ民主共和国とその周辺国からの紛争鉱物(3TG)およびコンゴ民主共和国からのコバルトを、責任ある調達をするための戦略上優先的な鉱物として位置づけています。また、コーティングを行うサプライヤー向けにマイカ(雲母)を追加。こうした判断は、当社製品における普及率と紛争地域および高リスク地域(Conflict-Affected and High-Risk Areas、CAHRAs)からの調達率に基づくものです。Acerでは、今後も優先鉱物の再評価を行うとともに、紛争地域および高リスク地域(CAHRAs)を特定するための手順の改良に携わっていきます。また、2021年には5回目の連結責任鉱物報告書を発行し、すべての優先鉱物のデューデリジェンスを実施するために取った措置について概要を発表しました。
2021年には 「2020年責任ある鉱物調達レポート」 を発行。このレポートには、Acerの紛争鉱物サプライチェーンのデューデリジェンスについての概要、今後の計画、3TG製錬業者もしくは精製業者(Smelter or refiner、SOR)のリスト、鉱物の原産国などが含まれており、前年度よりもさらに改善されたことが示されました。2020年の目標として、製錬業者もしくは精製業者の95%がOECD(経済協力開発機構)に加盟する第三者機関に適合していること、そして、100%の製錬業者もしくは精製業者がOECDに加盟する第三者機関に適合または参加していることを掲げました。Acer では、目標の95%を上回る96%の適合率を達成し、第2目標の適合率または参加率100%も達成。対前年比増を目標に、2022年の目標を適合率または参加率100%に更新しています。
2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | |
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適合製錬業者・精製業者の数 | 248 | 252 | 235 | 238 | 238 |
参加製錬業者の数 | 12 | 4 | 5 | 11 | 24 |
支援が必要な製錬業者の数 | 38 | 6 | 2 | 0 | 0 |
合計 | 298 | 262 | 242 | 249 | 262 |
適合製錬業者の割合 | 83% | 96% | 97% | 96% | 91% |
適合または参加製錬業者の割合 | 87% | 98% | 99% | 100% | 100% |
また、Acerは責任ある企業同盟(Responsible Business Alliance、RBA)が提供する基準比較およびリスク準備評価(Risk Readiness Assessment、RRA)ツールを継続して利用。このツールにより、製錬業者や鉱山の業績をさまざまな基準、取り組み、認証の間で比較することができ、鉱物のサプライチェーンにおけるリスクを評価・管理する能力を向上させることができます。同時に、製錬業者が市場に出す材料を使用する川下企業とのつながりを持ち、可視化することができるようになり、これにより、責任ある鉱物監査プロセス(Responsible Minerals Assurance Process、RMAP)認証の価値が強調されます。本レポートの執筆時点で、Acer は、99件の RRA(リスク準備評価)を受けています。
Acer は、紛争鉱物管理プログラムのベースとしてOECDデューデリジェンスガイダンスに引き続き準拠しており、さらに、プログラム条項の実施に努め、そのガイドラインへの適合を強化していきます。また、製錬業者/精製業者を特定し、処分することは、当社のデリジェンス手順および責任ある鉱物監査プロセス 製錬業者データの維持に不可欠な要素であると考えています。そのため、製錬業者への働きかけを継続し、責任ある鉱物イニシアティブ(Responsible Minerals Initiative、RMI)の製錬業者関与チーム(Smelter Engagement Team、SET)に製錬業者の詳細と取り組みの結果を共有しています。Acerは製錬業者関与チームチームのメンバーとして、世界的に疑惑のある製錬業者の調査を行い、製錬業者の定義を満たしているかどうか、責任ある鉱物監査プロセス プログラムの対象となり得るかどうかを判断することに大きく貢献しています。
当社は、紛争鉱物の問題に対する進捗状況を評価し、Acerのコミットメントとサプライヤー要件を説明し、この問題を十分に理解してもらうために、サプライヤーとのミーティングを継続して行っています。また、調査結果を公表し、政府、業界、市民セクターグループらと協力してサプライチェーンの課題を解決し、合法的な非紛争鉱物の使用を継続的に支援していきます。
Responsible Minerales Reportの詳細(英語)は こちら のページ内、[Responsible Minerals Reports] からダウンロードいただけます。
<当社のこれまでの取り組み>
2009-2010
Acer は、紛争鉱物の問題について、サプライヤーとコミュニケーションを開始し、EICC/GeSI(Electronics Industry Citizenship Coalition/Global e- Sustainability Initiative)採掘分科会と採掘デューデリジェンス(Extractives Due Diligence)分科会の両方に参加。また、「紛争鉱物調査帳票」(Conflict Minerals Reporting Template)の策定にも貢献しました。この帳票(テンプレート)は、企業のサプライチェーンに材料を供給する製錬業者に関する情報の開示と伝達を容易にするものです。
2011-2012
当社とサプライヤーは、責任ある企業同盟(Responsible Business Alliance) デューデリジェンスツールの試行や EICC/GeSI 採掘分科会に参加し、製錬業者リストの提出と結果の公表を行うとともに、RBA/GeSI 責任ある鉱物監査プロセス(RMAP)を支援する具体策を講じました。Acerは2012年11月、経済協力開発機構(OECD)の「紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのための OECDデューデリジェンスガイダンスへの金に関する補足事項の実施プログラム」に参加し、当社のサプライチェーンと地域におけるデューデリジェンス能力を高め、プログラム実施における経験を共有することに努めました。
2013-2014
「責任ある鉱物取引のための官民連合」(PPA)に加盟し、RBA デューデリジェンスツールのバージョン2を使用して、3TG 鉱物(タングステン、錫、タンタル、金)の使用と供給源を含む精錬所に関する調査をサプライヤーに開始しました。同時に、この調査を通じてフィードバックを入手するようにしました。2013年にサプライヤーが実施した非紛争鉱物調査の検討・分析を通じて、当社のサプライチェーンにおいて紛争鉱物を使用している製錬業者・精製業者のリストを特定。詳しくは、2013 Conflict Mineral Report および、2014 Conflict Mineral Report(英文)をご覧ください。
2015-2016
当社は引き続き製錬業者リストを公開し、製錬業者名と製錬業者が存在する国を立証するだけでなく、新たに追加された製錬業者の情報開示も行いました。この情報は、Acerのサプライチェーンの透明性を高めると同時に、取引のある製錬業者・精製業者の特定とコンプライアンスの状況に関する情報をステークホルダーに提供するものです。詳細については、2015 Conflict Mineral Report および 2016 Conflict Mineral Report(英文)をご覧ください。
2017
「紛争鉱物管理プログラム」(Conflict Minerals Management Program)は「責任ある鉱物調達プロジェクト」(Responsible Minerals Procurement Project)に改称されました。社会や環境に悪影響を及ぼす重点鉱物や地域の特定とサプライチェーンのトレーサビリティとデューデリジェンスを通じて、鉱物管理の範囲を戦略的に拡大し、経済協力開発機構(OECD)の「紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデューデリジェンスガイダンス」 (Due Diligence Guidance for Responsible Supply Chains of Minerals from Conflict-Affected and High-Risk Areas") に適合することを目指しています。さらに、この新しい戦略に対応して、当社の「責任ある原材料調達方針」(Responsible Raw Materials Procurement)と社内の管理手順を改訂。2017年も引き続き、紛争鉱物(タンタル、錫、タングステン、金)だけでなく、コバルトやインドネシアの錫鉱山に対するデューデリジェンスの調査状況を公開し、「製錬業者リスト」「鉱物原産国リスト」「Acer サプライチェーンデューデリジェンスガイドライン」(Acer Supply Chain Due Diligence Guidelines) を公表しました。また、サプライヤーに対し、高リスクの製錬業者との取引を停止するよう要求しています。(ただし、その製錬業者がRMAP認証の進捗状況を示すことができる場合はこの限りではありません)詳しくは、2017Conflict Mineral Report(英文)をご覧ください。
2018
Acerの責任ある鉱物管理をステークホルダーの期待に沿ったものにするため、「認定製錬業者」 (qualified smelters) の定義を、責任ある鉱物イニシアティブ(RMI)の「責任ある鉱物監査プロセス」(RMAP)、「ロンドン貴金属市場協会」(LBMA)、「責任あるジュエリー協議会」(RJC)の認証など、OECDの「デューデリジェンスガイダンス」に準拠した第三者システムに適合するものに改訂しました。2018年の紛争鉱物デューデリジェンス対策の結果、サプライチェーンにある262社の製錬業者を特定することができましたが、その数は、前年度より36社減少しました。また、2018年に適合する製錬業者の数が248社から252社に増加しました。詳しくは、2018Conflict Mineral Report(英文)をご覧ください。
2019
責任ある鉱物調達プログラムでは、コンゴ民主共和国とその周辺国から産出される紛争鉱物(3TG)、コンゴ民主共和国のコバルト、インドネシアの錫を引き続き、責任ある鉱物調達戦略の優先対象としています。これらの判断は、当社の製品における普及率と、「紛争地域および高リスク地域」(CAHRs)からの調達に基づくものです。Acerは、今後も優先鉱物の再評価を行うとともに、紛争地域および高リスク地域を特定するための手順の改良に携わっていきます。2019年、Acerは2回目の連結責任鉱物報告書[responsible minerals report(英文)] を発行し、全優先鉱物のデューデリジェンスを実施するために取った措置について概要を発表しました。